新雪の ブナの森まで歩こう

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外気温3度ぐらいだと降ってくる雪はジトッとした雨交じりになる。上空では完全に決意でも表明したように自覚した雪として降りてくるが、途中の気温に溶け込み惑わされみぞれになって降ってくる。昨日、雨なのか雪になるのかどっちかを引きずった、はっきりしない一日だった。
 ただ今朝は違った・・・零度、真冬の季節感張りつめた臨場感たっぷりの朝だ。鼻の奥までひんやり、さらに・・・しびれさせるぐらい、刺すような空気。しばやく外でいると鼻の中の暖かい成分と刺すような冷空気と化学反応したのか水蒸気のように、鼻水となって濡れて垂れて口まで伝ってくる。 『容赦のない冬だ』
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少し前に山を歩いた後に、下半身がフラフラと落ち着かずふくらはぎが痙攣したが、もうそんなことも忘れて、また森に遊びに来た。 枝や幹に積もった雪は、深い森でたまに見かけるが、熊がエサを集めるときの熊棚のような塊になっている。シラカバの雄花が地中の養分を先取りしながらふくらみ始めてきた。
いままでに1mほど積もってた雪の上に、この2,3日降ったのだろう新雪が1mほど積み重なって2mまでになっている。

1時間ほど歩くと見晴のよい場所に出てスキー場のリフトやスキー客の姿がわずかに見える。何かの大会があるようで、何々県、何々学校、ナンバー何々、タイム・・・何秒・・・などとスピーカーからかすかに流れてくる。
ゲレンデに良く流れる軽快なリズムは聞こえてこないので、そこは賑やかなのか暇なのか、スキー場として人気なのかよくわからない。この地域の山には適度に雪が積もって、豪雪地帯でもないし身近にスキー場があるし海も近いしそこそこのクロダイも釣れる。田舎だが豊かな自然に囲まれているともいえる。ちょっと不便でも不幸な田舎でもない。来年、新幹線が止まるぞ!・・・いまは静かな森の中を歩こう!

トレースのない、ノウサギの足跡も何もない30cm以上も埋まる雪道をハアハアしながら1時間歩くと吾輩の肺の高齢化に、朦朧とした意識と脳の高齢化に、いままでの長い生活のいただけない悪習慣を嘆く。
TVのCMでマイナス5歳肌などといって、もしかしたらと幻想をマジに受けとる、おしゃれオバサンを喜ばしてくれる。当方もマイナス10歳肺・脳といったマジック・サプリメントかなんか欲しい。
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野鳥のツガイがミズキとカエデの間を飛び回っている。風をとらえ省エネ飛行している。一回羽ばたくだけで5mは進んでいる。10回も扇げばどっかまで!同じ二足歩行でも彼らには翼がある。羨ましい限りだ。羽根でもあると少しは楽に歩けるのだが、ない物ねだりはよそう。
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オオバクロモジの葉芽と花芽でも見ながら休もう。
昼も近くになると白濁した空にけったいな滲んだ陽の光がわずかに見えてきた。まわりに暖かい空気を感じると麓の雪が水蒸気となって新しい白い雲となって何層の濃淡に分かれた冬の空を形成している。
もともと空が青い、地球が青いことは知っている。滲んでいた日の光がまぶしいくらいの紫外線を発光し白い雲の中から青い空が見え明るい冬の気配が漂い始めてきた。
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ふと、振り返ると後ろに中年のご夫婦が歩いてきたので・・・追い越して先を歩いてもらうと楽だぞ、なんて・・・弱気な気持ちがでてきた。木々の冬芽を手に取ったり、デジカメを取り出して風景を映す格好をしてみたりと姑息な動作をして、お先にどうぞと、道草をするふりをした。元気なご夫婦は「ありがとうございます 天気よくなりましたね」と言って先を歩いて道をつけてくれた。純粋なご夫婦のおかげで3番目で楽に歩けたが、肺年齢の高齢化と姑息な手段をとった自分の根性なしを心の中で恥じた。もう10分そこそこでそこに着くのに!
始めの千歩より、最後の一歩が重要なことになぜ気が付かないのだ。

敗北感の中でかじった明治のチョコは苦く、わずかに出てきた青い空のつくった影がもわっとして心はブルーなのだ。熊棚のような雪をたっぷりと抱え込んだカエデやブナの木々は枝を折られそうになっても、折られるまで限界を持たずいつになるかわからない雪融けを待つのだろう。



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