ノウサギとキツネとカモシカ

古いお札がまだ残っていたのでお宮へ納め、拝殿まで上がって二礼二拍手一礼してきた。梢に雪が積もったカシの木や山茶花の赤い花を咲かせた境内は静かで参拝者もいない。時おり吹く風が梢に積もったばかりの雪を舞い散らせるぐらいで音のない冷ややかな静寂を感じさせている。
正月過ぎても積雪はそう多くなく20cmほどで歩いても雪で埋まることはない。寒くないし天気も悪くないし1時間ほど散歩がてらと思い、お宮から少し離れた城跡まで長靴のまま歩くことにした。
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坂道がつづく山道にさしかかると雪が深くなり、歩くたびに上げた足に付いた雪が長靴の隙間に入り込むが大したことではない。靴下が濡れかかとの部分が冷たくなるのがわかるが、足の指先まで冷たくなるほどではない。それよりもカモシカやノウサギ、キツネの足跡が気になった。どうも自分と進行方向が同じで城跡まであるようだ。
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カモシカとノウサギは土手を上がったり下ったりして道草をしているようだが、キツネはしっかり歩きやすい山道に沿ってそのとおり坂道を上っている。キツネと同じようにフォックスウォークで後についていこう。

ここは春一番、先にマンサクが咲く山で黄色くねじれた花弁が面白いが、まだ秋に作った冬芽がそのままで小さくて硬いまま。静かに春を待っているのだろう。じっーと雪の晴れ間や暖かい日が続くのを、いまかいまかとチャンスを狙っているのが元気な杉ぐらい。雄花を膨らませ風とともに花粉を飛ばそうと時期を図っているのがわかるぐらい生長しているスギちゃん。ワイルドだろう!!「葉を落とさない針葉樹だぜー」
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カモシカは雪の上からでも土を掘り起してエサを探したようで、なんとか食える根でもあるのか、あちこちに新しい形跡がある。ノウサギとキツネの足跡も新しい、今朝のものだろう。すこし広い場所にみんなの足跡がクロスしているのがいっぱいある。千載一遇、虎視眈々(スナイパーキツネ)

 【妄想】 ノウサギの後をつけ狙いを定めるキツネ。結膜炎をわずらわせたような赤く充血したノウサギと銀色のカラーコンタクトをつけたようなハスに構えた冷徹なキツネ、聞き耳を立てピクピクさせてキーと警戒音を出すカモシカ・・・弱肉強食か焼肉定食か。
キツネの鋭い視線を感じたノウサギは、スイッチが入ったように速い速いシュールな動きでキツネの猛追に負けない。なんたって斜面をスキーの葛西や高梨沙羅ちゃんみたいにジャンプして逃げ切れるのだ。クロスカントリーのキツネの基礎体力では勝てない。もっとそれなりの技術と騙し作戦を考えて、なんどもシュミレーションを繰り返さなければ獲物は手にできない。
ここは草食系を応援しよう。カモシカもただ呑気にエキセントリックに穴を掘って芋を探しているようでは未来がない。そのうちに罠という天敵がでてくるに違いない。天然記念物だといって将来を約束されたわけではない。
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城跡で遠くの風景に、色を変えられないまで白くなった火打山から雪煙りがあった。
ポケットのスマートではない携帯がなった。「今、病院だけど 今晩なに食べる」と訊かれ、カモシカを思い浮かべ、鴨なべと言いそうになったが、ケヤキのテッペンに止まっているトリを見ながら、鶏、いやキムチ鍋が食いたいと答えた。シュールな動きを会得するには弱肉定食の動物性タンパクが欲しいが、この際植物性で草食系にした。



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